歩論野亭日常

阿寒湖の辺りで

緊急事態の朝に

昨日抜かれた親不知が、もしかしたら俺の人生で最後の歯を無理やり抜かれる体験かもしれないけど、中国や日本が糞ファシスト政府に支配されたら、そんな拷問を受ける日が来るかも…なんてことを誰もいない部屋の中で考えながら、お湯が沸くのを待っている。


それで朝ごはんを済ませたら山菜採りに行く。来週にはいいとこ終わらせたい。季節は今、冬から春に急速に進んでいて、景色が毎日みるみる柔らかな緑色に変わってゆくので、毎年毎年、少し焦りながら山菜採りをするのだ。でもその焦りに、「自分には確かにすることがあるのだ」と感じられて少し嬉しい。


テレビをつければコロナ。昨日は見送るといっていたのに、今日ついに北海道に緊急事態宣言が、とかいっている。思わず窓の外の、天気のいい日の光に照らされた、いつも変わらない森の風景をじっと見てしまう。自然の毎年の変わらないように見える営々たる姿と、行き当たりばったりにどんどん変わってゆく人の世の中の営み。


それでも私たちは、先祖たちが皆そうだったように、身の回りの自分のできることをコツコツとやるしかない。そして余裕があるのなら、金があるものは金を、知恵のあるものは知恵を、アーティストはアートで、あるいは何か身体を動かして、この世の中を少しでも良くするために働こう。できれば仲間と一緒に、そうでなければ一人でも。