歩論野亭日常

阿寒湖の辺りで

東さんへ

尋ねればいつだってその佇まいに虚栄も傲慢も自虐も見えない、いつもただそのままにあり、そしてまるで人の魂の色や形が見えるかのようでありながら、なんの含みもなく正面から向き合うように力強く握手の手を差し出してくれる姿が、いつでもありありと思い出されます。人の属性とは関係なくおそらく感覚で察し、初対面から俺と分け隔てなく接してくれた事は俺にとって人生の謎の一つですが、でもあなたのそんな姿を見ているうちに、そんな風に人とわかりあう事が可能であること、そうした感覚によってアートや音楽を感じる能力が人には備わっているという当たり前にして大事な事実を確信する事ができました。あなたのあの笑顔と、力強く暖かい手の感触、あの空間に漂っていた精霊たちの創り出す雰囲気、そして響くジャズの音。ありありと感じられます。どうか良い旅を。