歩論野亭日常

阿寒湖の辺りで

夏なんです

八月。連日三十度近い気温の阿寒湖。

暑くなると、俺ははっぴいえんどの「夏なんです」が聴きたくなる。

この曲を聴くと、今よりも地面に近いところで生きていた子供の頃の灼熱の夏休みにあったいろんなことを思い出し、ノスタルジーにたまらない気分になる。

ギラギラした太陽と入道雲の下の虫取り。

田舎のじいちゃんの家の開け放たれた縁側から眺める農村の景色と刈った草の匂い。

暗い家の中のひんやりとした畳の気持ちよさを感じながらの昼寝。

小川で冷やしたスイカや採れたてのキュウリやトマトの濃い味。

線香と団扇と灯りに集まる蛾やタガメ

お盆の準備にドキドキし、近くの寺の夜店や神楽に出かけて感じた非日常。

濃い夜の闇の中に感じた祖霊や妖怪の気配……

はっぴいえんどの「夏なんです」には、日本の少年時代の夏が美しく、永遠に封じ込められている。

http://youtu.be/z2Il0hgjs9A

「夏なんです」

作詞 松本隆

作曲 細野晴臣

田舎の白い

畦道で

埃っぽい風が

立ち止まる

地べたにぺたんと

しゃがみ込み

奴らがビー玉

弾いてる

ギンギンギラギラの

太陽なんです

ギンギンギラギラの

夏なんです

鎮守の森は

ふかみどり

舞い降りてきた

静けさが

古い茶屋の

店先で

誰かさんと

ぶらさがる

ホーシーツクツクの

蝉の声です

ホーシーツクツクの

夏なんです

空模様の縫い目を

辿って

石畳を駆け抜けると

夏は通り雨と

一緒に

連れ立って行って

しまうのです

モンモンモコモコの

入道雲です

モンモンモコモコの

夏なんです

日傘くるくる

僕はたいくつ

日傘くるくる

僕はたいくつ