歩論野亭日常

阿寒湖の辺りで

至高のPerfume体験

7/5の閉店後夜22:00。

釧路のPerfumeにガチな男たちが、翌朝4:00から札幌ファクトリー・ユナイテッドシネマ札幌で挙行されるPerfumeの初のヨーロッパツアーロンドン公演のライブビューイングに参戦する為、阿寒湖を出発した。

ガソリンの不安から音更まで下を走り給油を済ませ、そこからは高速で一路札幌へ。時間が時間だけに車も少なく、スムーズに7/6の2:00には現地到着。

着々と集まってくる同じようなガチな人々と逸る気持ちを抑えながら、開演を待つ。

繰り返すが、朝の4時である。それなのに、4~500名は入る会場は満員。これは予想外だった。もっと閑散としているものかと思っていたが、やはりPerfume恐るべし。

それとも、俺と同じく、彼女たちの初のロンドン公演をどうしても目撃したいという、積年の熱い想い故なのだろうか。

予定時刻をちょっと過ぎ、現地の映像がスクリーンに映し出される。歓声が上がる。現地でPerfumeの登場を待ちきれない観客が手拍子で催促を始める。同じく映画館内でも始まる。さあ、いよいよだ。この手拍子からもうPerfumeのライブは始まっている。

現地でアナウンスが入り、会場暗転。画面の中と札幌仙台東京大阪名古屋福岡日本全国津々浦々、香港台湾シンガポールバンコク、ロスやメキシコブラジルの観客が世界中で同時に雄叫びと歓声と興奮の声を上げる。世界中でスイッチがオンになる。

暗闇の中、三つの白い何かがステージに現れる。絶叫。しかし、そこから始まったパフォーマンスは、世界中の観客をただの目に変えた。

カンヌで披露された、あれだ! だが、高音質高画質大画面によって眼前に展開されたそれは、俺の想像をはるかに超えていた。

三人の上に映し出される圧倒的プロジェクションマッピングは、完全に三人をこの現実世界とアニメやバーチャルリアリティの非現実的存在の間を行き来する正体不明の驚異的な何かに変えた。そこに確かにいるのだが、手を伸ばしたらコンピューターのモニターの中に消えてしまうかのようであり、モニターの中に入り込んだ自分の手が非現実の実態を掴んだ拍子に、自分も実は非現実の存在であると感じてしまうようでもあり。

しかし音楽に合わせてマッピングが切れ、彼女たちが動き出すと、途端に観客は爆発する。静から動、電子の世界から受肉した彼女たちによって我々も肉体の衝動につき動かされる。

つまり彼女たちのパフォーマンスは、一瞬にしてあっさりと強力に、我々を非日常の祭典空間へと連れ去ってしまったのだった。

そして一曲目は最新曲Magic of Love。大歓声を上げハンズアップし踊り出す観客。しかし、今日の三人の仕上がりぶりはとんでもない。完璧だ。

爆音で流れるワンアンドオンリーな日本のポップスに合わせて長年の修練の頂点ともいえる圧倒的ダンスを細密かつダイナミックかつ高速で披露する三人を、バックショットで映し出したシーンで嬉しさのあまり涙がこみ上げる。ロンドンの客が圧倒され、陶酔し、歓喜の叫びを上げてフロアで踊り狂っている。なんて素晴らしい光景。これをずっと見たかった。世界がPerfumeで踊る姿を目撃するのを俺はずっと待っていたのだ。それが目の前にあったのだ。これが泣かずにいられようか。

それから彼女たちはひたすら最新曲で観客を圧倒する。ユニークで日本的でかっこいい楽曲に合わせて信じられない精度のダンスを繰り出す黒髪の三人の日本人女性たち。世界よ、これがPerfumeだ!

だいじょばないで踊り狂いながらも目が点になり、スパイスに圧倒され、ポリリズムでまた泣かされ、SEAVENTH HEVENに心を奪われ、Dream Fighter歓喜し、PTAで笑いながらもホームでのWe Well Rock You大合唱で痺れ、心のスポーツで多幸感を味わい……

これを世界中で同じ時に、Perfumeを好きなみんなが一緒に体験していたって、本当に信じられない。

アンコールは観客のリクエストでGLITTER。俺の中では震災追悼曲として特別な一曲なので、これに決まった時は嬉しかった。

祈るような仕草で始まるこの曲は、約束を果たすその日まで私たちは泣かない。その事を思い出すよと歌う。

今夜はその歌詞に、かつての自分たちの夢への約束、そして海外進出を宣言した自分たちの、日本のファンへの約束への決意が込められてるように感じて、また涙。

愛と感謝と深い満足の中、彼女たちのロンドンLIVEは終わった。

終わってから思うのは、世界の大衆音楽の中心であり発信地であるロンドンでの初の公演を世界に配信した、その重要性である。

万が一ロンドンのオーディエンスの反応がしょっぱいものであった場合、それが配信される事は今後の活動のダメージになり得る。やはり日本人は世界に出る事は無理だったとたやすく言われてしまうだろう。

しかし彼女たちとチームは万全かつ完璧かつ素晴らしい音と演出とパフォーマンスで、その大舞台で大成功を収めた。本当に胸がすく想いだ。そして、この高度なプロジェクトによる偉大なチャレンジの成功が今後の活動に必ず良い影響を与えると俺は信じる。万歳!万歳!万歳!!!

Perfumeの皆さん、そしてチームの皆さん、本当にお疲れ様でした。身体に気をつけてパリ公演も頑張って下さい。そして、本当にありがとうございました!ニューアルバムも本当に楽しみです! Perfume最高! We Love Perfume!!!