歩論野亭日常

阿寒湖の辺りで

3つのトライアングル

4年前の7月8日、Perfumeの傑作2ndアルバム「⊿ トライアングル」が発売された。記念日の今日は店でずっとこのアルバムを聴いていた。CDは通常、発売日の前日に店頭に並ぶので、4年前の俺は7月7日に釧路に走り、このアルバムを期待を胸に買いに行ったものだ。

しかし一般的には7月7日は七夕の日である。よく知られているように、天の河によって隔てられた織姫星と彦星が、1年に1度だけ河を渡り出会うことができる日である。

しかしヨーロッパでは当然の事ながら、織姫星と彦星には別の名前がある。それぞれこと座のベガ、わし座のアルタイルという名前のこれらの星は、夏の夜空に輝く有名な3つの星「夏の大三角形」のうちの2つの星である。ベガとアルタイルの間に天の河があるわけだ。

つまり4年前の7月7日の七夕、夜空に織姫星と彦星を擁する夏の大三角形が輝くその日に「⊿ トライアングル」という名のアルバムが世に送り出されたわけだ。偶然だとしてもロマンチックだし、なんだか少し神秘的ですらある。

そしてあくまでそういった視点でみた場合の話ではあるが、昨日の7月7日、もう1つの三角形がヨーロッパの地図に加わったのである。

Perfume史上初にして宿願のヨーロッパツアーは、昨日のパリ公演で大盛況のうちに千秋楽を迎えた。今回ヨーロッパでLIVEを行ったのは3都市。ドイツのケルン、次がイギリスのロンドン、最終日の昨日がフランスのパリである。

この日程を初めて聞いた時、少々違和感を覚えた。世界の音楽の中心的発信地の一つであるロンドン、日本文化愛好家の多いフランスの首都パリは理解できる。それにどちらもヨーロッパの大国の首都だ。しかしならばなぜ、ヨーロッパ最大の経済大国ドイツでは、首都のベルリンではなく、都市人口第四位のケルンで行ったのか、と疑問に感じたのだ。

この疑問に面白い視点である種の答えを与えてくれるのがTwitterで見つけたこの三つの都市を線で結んだこの図である。

ほぼ直角二等辺三角形に見える。ケルンでなければこの形にはならない。そしてこれにとてもよく似た形を、Perfumeファンは知っている。前述したPerfumeの2ndアルバム「⊿ トライアングル」である。

ちなみに「⊿ トライアングル」発売を期に行われた全国ツアーのタイトルは「直角二等辺三角形ツアー」であった。

さらに言えば、彼女たちを待ちわびていたヨーロッパのファン達に出会うために日本からやってきて、ロンドンからドーバーを渡って7月7日にパリ公演を行ったPerfumeは、七夕に織姫と彦星が天の河を渡って出会うという伝承を彷彿させなくもない。

つまり、昨日の7月7日は、音楽と天と地上の3つのトライアングルが、3人組のPerfumeを中心とした縁によって結び付けられた日と捉えることができる。単なる偶然のこじつけかもしれない。だとしても、とてもエキサイティングな偶然だ。