歩論野亭日常

阿寒湖の辺りで

こんな夢をみた

私のいる部隊に

新しい子供達が入ってくる

皆まだ幼い

誰が使い物になるかわからないので

ちょっとしたテストを行う

三秒以上触れていると爆発するネットを広げ

子供達に近付ける

彼らはどう振舞っていいのかわからずに

奇声をあげて掴みかかった

子供達は

三秒後に爆発して

全員がバラバラになって死んでしまう

彼らは少年兵にはなれなかった

次の子供達が入ってくる

よく見るとその中には

私の長男がいるではないか

お願いだ

助かってくれ

爆発するネットが近付けられると

息子は奇声をあげて掴みかかる

倒れたネットに絡まって

息子はそれを殴りつけている

駄目だ

爆発する

すぐに離れないと死んでしまう

それを言葉にも行動にもせずに

私はただ見守って願うだけだ

しかしなかなか爆発しない

見れば

スイッチを押す兵隊は

涙を流している

彼もスイッチなど押したくない

幼い子供達を

本当はこんな理不尽に殺したくはないのだ

そこでふと

なぜ自分はこの非道で理不尽で愚かな仕組みを

自明の事としてただ見守るだけなのか

この枠組みの中で

息子が死なない事を祈るのではなく

なぜ自分は行動を起こさないのか

そもそもそれがおかしいのではないか

そう気づいた

そんな夢をみた